Vol.0477:世界の法人税率
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税制面でも香港の優位性はなくなった
現在、香港の法人税率は
利益のうち200万香港ドルまでは8.25%の税率。
200万香港ドルを超える利益については、16.5%の税率で課税されます。
ちなみに200万香港ドルは約25万USDです。
(2020年6月18日のレート)
何度か、香港の記事は書かせて頂いていますが
参照:Vol.0456:香港の過去から未来
参照:Vol.0458:香港国家安全法のその先の規制
税制面で見ても『香港の優位性はなくなりつつある』と
見ています。
10年前、法人税率が20%を切っている
香港は確かに『税制面での優位性』がありました。
しかし、世界的に法人税率が引き下げられ
企業の誘致競争が繰り広げられるようになってしまい
16.5%の税率は、けして魅力のある税率ではなく
なってしました。
香港の周辺諸国、例えば日本であれば
40%台から20%台まで下がりましたし
引用:財務省
韓国でも10%台から20%台です。
引用:JETRO
ちなみに2億ウォンは約16万USDです。
(2020年6月18日のレート)
かつては、世界中の法人税が高かったので
香港の税制は魅力的でした。
イギリスから中国に返還され
『世界の潮流をとらえきれていない』のようにも
見えますが『香港は税制面で有利』と言う時代では
なくなってしまったのです。
世界の法人税率
法人税率が20%以下の国が世界にどれくらいあるのか?
と言うと
その数は『69ヵ国』です。
OECDの平均ですら『23.5%』です。
引用:KPMGより
しかし、実際には69ヵ国どころではありません。
もっと多いです。
それには『あるカラクリ』があります。
エストニア方式の税制
ジョージアの法人税は表向きには『15%』です。
しかし、実際には『ほぼ0%』です。
そのカラクリは下記です。
参照:ジョージアの法人について
この税制はエストニアから始まったことから
『エストニア方式』と呼ばれるようになりましたが
この税制は、1つの国際情勢を反映した形でもあります。
オフショアのように露骨に『法人税0%』としてしまうと
『課税逃れ』や『犯罪マネーが集中している』など
世界の厳しい声に晒されます。
しかし、表向きには『法人税』があるように見せることで
世界の厳しい声をかわす狙いがあるのです。
他にも、国内で儲けたお金には課税するけど
海外で稼いだお金であれば『課税しない』国や
税率を2段階にして〇〇ドルまでは0%と言う国もあります。
あの手この手で、各国は税制の優遇を作っています。
それを細かく追っていくと
法人税率が20%を切るような国は100ヵ国は超えます。
まとめ
香港がイギリスから中国に返還され
中国は『共産党の利益と利権を守るため、香港をどう利用するか?』
と言うことを考え、香港のルールをめちゃくちゃに変えてきました。
そして香港も『中国の顔色』しか見なくなってしまいました。
これが、香港の魅力を低下させ続けている要因だと思っています。
もはや香港の税制は、世界から見れば
それほど魅力ではないですし、中国によって
白にも黒にもなってしまうような場所は
『ただただリスクでしかない』です。
そして、香港が中国化していく中で
世界の税制や仕組みは、どんどん進化しています。
このまま、中国が香港の中国化を最優先とするのであれば
10年後、世界と香港の差はもっと広がることになると考えています。