Vol.0496:アメリカが本気で中国へ制裁
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アメリカによる制裁
香港の中国化へ向け、一気に駒を進めた中国政府。
それに対して、世界中が中国政府を非難しており
中国は世界の中で、孤立をし始めています。
そして、アメリカも『制裁』へと動き出しました。
ドナルド・トランプ米大統領は14日、香港に対する優遇措置を廃止する大統領令に署名した。中国が香港国家安全維持法(国安法)を成立させたことを受け、トランプ政権は中国への強硬姿勢を強めている。
トランプ氏はホワイトハウスの記者会見で、「香港は今後、中国大陸と同様に扱われる」と述べた。
「特別な恩恵も、特別な経済的待遇も、注意が必要な技術の輸出もなくなる」
トランプ氏はまた、香港市民の権利を弾圧する中国当局者には制裁を科せる、香港自治法にも署名した。
・貿易に暗雲
優遇措置の廃止により、香港で事業を行う1300以上の米企業が対応に苦慮する可能性がある。
香港に査証(ビザ)なしで渡航できていた米国民が、今後はビザの規制を受けることも考えられる。
香港とアメリカ間の低率の関税は消滅するとみられ、年間数百億ドル規模の両国の貿易は今後が危ぶまれている。
アナリストらからは、香港の世界的な金融ハブとしての地位と、中国にとっての国際金融市場への玄関口としての役割が損なわれるだろうとの見方が出ている。
BBCのアジアビジネス担当、カリシュマ・ヴァスワニ編集委員は、香港には低い税率、地理的な利便性、通貨の兌換(だかん)性が残っていることから、米企業などの国際企業がすぐに姿を消すわけではないだろうとする、コンサルタントの見方を紹介。
ただ、香港でビジネスをするのは厄介だとのイメージが広がれば、中国大陸やシンガポールに移転する動きが出るかもしれないと説明した。BBCより
アメリカの制裁はこれで終わりではない
アメリカのトランプ大統領は、優遇措置を廃止にしましたが
アメリカはすでに、次の制裁も議論を始めています。
トランプ米大統領が14日署名して成立した「香港自治法」は、中国の大手銀行への金融制裁に道を開く。米銀との取引を禁じる8つの手法を列挙した。ドル調達の封じ込めという中国への強烈な「脅し」だが、実行すれば世界の金融システムに亀裂が入りかねない。
香港自治法に盛り込まれた米当局の経済制裁は2段階ある。米国務省は90日以内に、香港の自由や自治を侵害した個人や団体を特定し、ドル資産の凍結などの制裁の可否を検討する。米共和党は制裁対象として、中国共産党・最高指導部の韓正副首相(香港担当)らを視野に入れる。
2次制裁として、その個人や団体と取引がある金融機関も対象となる。香港自治法は具体的な制裁手法を挙げており(1)米銀による融資の禁止(2)外貨取引の禁止(3)貿易決済の禁止(4)米国内の資産凍結(5)米国からの投融資の制限(6)米国からの物品輸出の制限――など8項目が決まった。
取引断絶などの措置をとれるように制裁発動まで1年間の猶予を金融機関に与える。対象を中国金融機関に限っていないが、中国銀や中国工商銀、中国建設銀など巨大銀行に照準を当てる。
同法を主導した共和党のトゥーミー上院議員は「中国経済の将来はドル取引にかかっている。中国の巨大銀行がドルより(香港の)迫害者との取引を優先するならそうすればいい」と言い放つ。
基軸通貨ドルの封じ込めは、中国への強烈な脅しとなる。ブルームバーグ・インテリジェンスによると中国国有四大銀が抱えるドル資金は1兆1000億ドル(約118兆円)。中国企業の貿易決済を担うだけでなく、新興・途上国でのインフラ投資など「一帯一路」の資金の出し手だからだ。
野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは「最悪のシナリオを想定すれば、海外事業を手がける中国企業が米ドルの送金をできなくなる可能性がある。当然、中国の貿易はしぼむ」と指摘。「中国がデジタル人民元の国際化に積極的なのはそのゆえんかもしれない」と語る。
米国内には米連邦準備理事会(FRB)とウォール街がそれぞれ主体の2つのドル決済網がある。両者の1日当たりの取引額は3兆ドル超で、中国の巨大銀は決済網からはじき出されれば途端にドルの資金繰りに窮する。
中国の大手銀をドル経済圏から排除すれば「中国の銀行不安に直結し、国際的な金融システムそのものが揺らぎかねない」(米財務省幹部)。米当局は対北朝鮮制裁で中国の丹東銀行(遼寧省)をドル決済網から締め出したことがあるが、大手銀には制裁を科さなかった。中国のドル調達を締め上げる今回の制裁手段も、影響力が甚大すぎて「抜かずの宝刀」となる可能性がある。
日米欧の金融機関への影響も未知のリスクだ。中国が制定した香港国家安全維持法には「外国勢力との結託」を禁じる項目があり、米制裁の回避に動けば、逆に中国から報復措置を浴びるリスクもある。米中の亀裂は、国際金融システムの弱点となりかねない。
香港では米欧金融機関などが米制裁につながる個人や法人取引の洗い出しに入った。関係者によると主にマネーロンダリング(資金洗浄)対策で収集した情報をもとに点検している。
日本のメガバンクも適用となる公算が大きい。制裁対象となる金融機関がこれから指定され、具体的な運用方法が不透明ななか「現時点で大きな影響は見込んでいない」(メガバンク担当者)との受け止めだ。日本経済新聞より
中国 VS アメリカの最悪のシナリオ
中国 VS アメリカの構造になった時
誰もがアメリカが負けるとは思わないでしょう。
アメリカは中国が『ドル取引禁止』は受け入れない
と言う思惑から『ドル取引禁止』と言うカードで
中国政府を『脅している』わけです。
多くのマスメディアや、アナリスト達は
『中国政府はドル取引禁止を回避する。つまり、アメリカ政府の脅しに屈する』
と思っています。
弊社も99%はそう思っています。
しかし、残り1%の可能性で
『中国政府はドル取引禁止になっても、強行姿勢を弱めない』
可能性があるのでは?と思っています。
その可能性を感じさせるのが
中国の『人民元』の『国際化』や『デジタル化』の動きです。
この2つの動きは、かなり『焦っている』もしくは『急いでいる』
ようにも見えます。
つまり、この動きは
中国政府は、ドル取引禁止を受け入れた時の
対応を準備しているのでは?と思うわけです。
『中国政府はドル取引禁止など受け入れるわけない』
と、多くの人達がそう思っています。
弊社も『受け入れるわけがない』と思っています。
でも、もし『中国政府がドル禁止を受け入れたら?』と
考えた場合、シナリオは最悪の方向へと向かい
『金融危機の可能性すらある』と考えておいた方がいいと思っています。
まとめ
弊社には今だに『香港で銀行口座を作ろうとしていました』と
言う問い合わせが入ります。
弊社は5年以上前から、香港の危険性を伝え続けてきましたが
今だにこの状況でも『香港で銀行口座を作りたい』と
思っていることに驚きを隠せないです。
香港は、イギリスが統治していた時の『オフショア』ではありません。
もはや香港は中国の財布であり
その財布も、小銭が入る程度の財布です。
中国にとって、香港はそれほど重要ではないですし
むしろ『中国政府がいるから香港が生きていけるんだ』
くらいに思っているでしょう。
それくらい、香港と言う場所は変わりましたし
中国政府も変わりました。
だからこそ、この変化を受け入れ
私達投資家も、変化(香港を捨てる)が必要だと言うことだと思っています。